彼の髪に指を絡めて引き寄せて口付けてみる。
だけどそんな風に求める仕草をしながらも、心の中では全然違った思いを繰り返していた。
あたしの事なんて愛していないくせに…
あの人のところに戻るんでしょう?
バロス ウェディング モルディブ 小説
ハーフムーンのため息(バロス)
なんて場違いなところにいるんだろう。
この鮮やかな色彩のなかで自分だけが白黒のモノトーンの世界にいるような疎外感。
この甘い風に包まれた楽園の中で、スーツケースに離婚届けを忍ばせているなんてあたしの他に居るわけがない。
美しい島の中で自分だけが不幸な気がする。いや、それは決して被害妄想なんかではないのだ。
ハーフムーンの溜息 (バロス)
バロス…という名のこの島は、歩いて10分少しの小さなリゾートだ。昨夜、到着し、桟橋から島を見たときは無人島かと驚いてしまった。うっそうとヤシの木々で覆われてて、建物が何も見えないくらいだったのだ。
だけど…島に足を踏み入れると、ぽつぽつとバンガローの明かりが灯っていた。生い茂った木々の間の小道を探検みたいな気分で通り抜ける。そして、案内されたのは小さなビーチバンガローだった。この島に溶け込むようにひっそりとたたずむ藁葺きの…恋人達にふさわしい隠れ家。
けれども昨夜はこんな場所に一人きりで泊まったのだ。夫は仕事の都合で1日遅れて到着する予定だったから。案内してくれたボーイが去っていくと、満室だと聞いていたのに、静寂が島を包み込んでいた。机の上に置かれたインフォメーションを手にとって見る。バロスの空中写真が載っていた。
ソーダブルーの海に囲まれた半月型の島。海にポッカリと浮かぶお月様のようだ。この場所に、自分が今居る事に現実感がなかった。夜の到着なので、実際にこの色彩を目にしていないからだろうか?
そして、目を覚ましてあたしは再びバンガローの前の小道を通ってを島を歩いてみた。ああ…夢じゃなかったんだ…あおいゼリーみたいに揺れる海を目の前にして、驚かずにはいられない。こんな場所が本当にあったなんて。
この島を訪れるハネムーナーや恋人達。街ですれ違えばありふれたカップルかもしれない。けれども南の島の甘い麻薬に酔い知れて、皆がロマンス映画の主人公のように寄り添っている。
人生最高の甘いステージ。それが更にあたしの孤独を引き立てる。
こんな場所で待ち合わせをしようなんて、嫌がらせなんじゃないかと、夫に八つ当たりしたくさえなる。三ケ月ぶりに会う妻へのサービスのつもりで、わざわざこの島の予約をとったのだろうか?こんなロマンティックなところで、もう終わりにしましょうと、離婚届けを突きつけたら彼はどんな顔をするのだろう。あまり、感情を出さない人だ。顔色ひとつ変えないかもしれない。
肩に手が触れる感触に振り返ると、やっと到着したのだろう、夫が立っていた。日差しと重なって眩しかったので、目を細めて彼を見つめる。日本にいる時より日焼けした肌が白いシャツを引き立てていた。彼は屈託の無い顔で微笑んでいた。
こんな顔をいつ見たっけ?
そうだあの時だ。それはあたしに向けられたものではなかったけれど。
「素敵なところね」
気持ちとは裏腹に、挨拶代わりにそんな事を言ってみる。
「あぁ、俺も首都のマーレから出たことはないし、リゾートの島は初めてだ」
夫はモルディブの首都のマーレに新しく建設される廃棄処理設備のプロジェクトの一員として、単身海外赴任をしている。三ケ月前に日本を旅立って以来の再会だ。
「一週間もよくお休みとれたわね」
「ずっと休み取ってないからな。仕事も一段落してさ」
会話はそこで途切れた。ただいつもと違うのは、沈黙という名称がふさわしいこの静寂を、小さな波の音が優しく色付けてオブラートしてくれている事。家でこの沈黙を感じると、耐えられなくてあたしは、早々にバスルームやキッチンにと居場所を移動して回避していた。
不思議な気分。ビーチに座って海を見ているだけなのに、黙っている事が逆に心地いいなんて。この場所ならば、別れ話もしみったれた空気にならないかもしれない。そんな考え事に胸がチクリと痛む。
…こんな日が来ると、ずっと前から…いや、妻になったその日から分かっていたのだ。幸せになれるはずがないではないか、あの人を踏み台にして
憧れていた。こんな女性になりたいと。そして彼女は、3歳年下のあたしを妹みたいに可愛いがってくれた。
『瞳さんって女優のスカウトとかなかったんですか?』
『あら、樹里ちゃんお上手。よいしょでも嬉しいわ。このランチご馳走しちゃう』
…お世辞なんかじゃないのに。この前電車の中でも宝塚の新人の誰かに間違えられて、サインなんて頼まれていたのだ。本当に人違いですと、困った顔の彼女に、しばらく見とれていたその女子中学生は
『じゃあ、お姉さんのサインをお願いします』とペコリと頭を下げた。
まいったなと渡されたペンを持つ彼女の指先をあたしは見つめながら、ささいなそんな仕草にさえ溜め息をつかずにいられない。
なんて優雅なんだろうと。そしておどけた視線をあたしに流して、小さくウィンクなんて投げてくるのだ。
「樹里、水着に着がえて泳ぐか?」
「…うん」
ビーチリゾートに来て海にも入らないとは不自然過ぎる。それに帰りの飛行機の都合でどうしたって1週間はこの島で過ごさなくてはいけないのだ。最後の夜に切り出そう。そう思うと少し今が気楽に感じた。夫の提案に素直に頷いて、着がえるために小さなコテージへと並んで歩き出した。
「俺の仕事の都合で新婚旅行も行ってなかったな」
「あたしもあの頃は仕事も変わったばかりで、休み取れなかったし仕方ないよ」
「二年遅れのハネムーンだな」
そう言って彼は手を差し延べてきた。そして大きな手のひらであたしの指をそっと包み込む。驚いた。そんな事をしないタイプなのに。
「珍しい」
嫌味のつもりじゃなく、ポロリとそんな言葉が漏れてしまった。
優しいのね
あたしが可哀想だから?
終りの予感がする?
それとも罪悪感?
喉元にこみ上げてくるこんな問い掛けをあたしはそっと飲み込んだ。彼はさっきと同じ穏やかな眼差しであたしを見つめている。あたしは海を眺める振りをして視線をそらさずにいられない。
そんな優しい目で見ないで…別れるためにこの島を訪ねたのに。最後が辛くなるじゃない。
切なさがこみ上げてくる。
胸が痛い…
だけど更にその刺を増やすかのように彼の温もりは甘美にあたしを包み込む。
これも罰なのだろうか?あの人から二年間彼を盗んだ事への…
小さなあたし達のコテージの中に滑り込むと、手のひらだけだった彼の温もりがあたしの全体を包み込んだ。懐かしい彼の匂いの向こうに南国の香りがした。エキゾチックな香辛料みたいな。
そしてあたしの白い肌に絡められたココア色の彼の腕。異国の男に抱かれている錯覚さえする。だけど紛れもなく、今あたしを抱いているのは夫なのだ。
彼の髪に指を絡めて引き寄せて口付けてみる。だけどそんな風に求める仕草をしながらも、心の中では全然違った思いを繰り返していた。
あたしの事なんて愛していないくせに…
あの人のところに戻るんでしょう?
こんなロマンティックな島で求め合っているのに、切なさがこみあげてあたしの胸をきりきりと締め付ける。
手放す覚悟はできているのだ。そう、彼を奪ったあの時から。だけど、このひとときに溺れるみたいにあたしは彼にしがみついていた。
『瞳さんの彼って幼馴染なんですってね?』
『妙にくしゃみが出ると思っていたら、昨夜はあたしを肴に皆で噂話していたんでしょう』
『だってこんな美味しい合コン蹴って、デートに行ってたら噂話になりますよ』
外資系製薬会社の総合受付嬢。お年頃の女の子が集まる職場。こんなあたし達にはたまに合コン話が舞い込んでくる。そういう集まりに積極的な同期の子が、いつも持ってくる話なのだが。
だけど、その場に必ず瞳は現れなかった。その事に安堵している女の子も多いのだけれど。彼女がきたら男達の視線は他の女の子を素通りしてしまうに違いない。
そして瞳が来ない理由が話題になったのだ。
中学時代の同級生で10年も付き合っている彼がいるのだという事だった。
『みんな噂してましたよ。瞳さんの彼ってどんな人だろうなって。あたしもすごく興味あるんだけど』
『あら。じゃあ週末一緒に来る?』
『え?週末のデートに?そんなお邪魔虫…』
『デートじゃないの。バスケの観戦』
初めて彼を目にした場所は代々木にある体育館のバスケットゴールの前だった。昔からの気の合う仲間で社会人チームを作っているのだと。バスケットなんて背の低いあたしには縁のないスポーツだった。女子チームもあって瞳もメンバーなのだけれど、今日は男子チームだけが試合なのだと彼女は言った。そして彼女が指差した先で彼は綺麗なゴールを決めたのだ。
試合の後、汗を滴らせながら彼は瞳のそばにゆっくりと歩いてきた。そして言葉も交わさず、彼女から受け取ったタオルで黙って汗を拭う。戦いを終えた後の彼は、余韻が残っているのかまだ鋭い視線のままで息を切らせていた。
『ゴール結構決まったね。調子いいじゃない』
『…まあな』
短い会話。だけどそれを埋めあうような二人の雰囲気に見とれてしまっていた。
だけど…この時歯車は既に動き出していたのだ。3人の運命を絡ませながら。
いつの間にか窓の外は見たことのないような雨の粒で覆われている。気紛れな南の島のスコール。あたしの溜息が、さっきまでの青い空を濁らせたような雲の色。
久しぶりの素肌を合わせた温もりから、ひとりベットを抜け出してみる。彼の隣には抜け殻みたいなシーツの隙間が出来ていた。
あまり眠っていなかったのだろう、そのまま静かな寝息を立ててピクリとも動かない。いつもこうして二人でいるとどうしてもこの違和感から抜け出せない。いつまで縛られているのだろう?解き放たれる時など来ないのだ。
ドウシテ隣ニアタシガイルノ?
南の島にいるというのに、凍えそうなくらいの何かがあたしを鷲づかみにする。
体が?心が?
失うんだという空虚感。その感情はあたしの全てを剥ぎ取っていくのだ。
何故か瞳はあたしを連れて行きたがった。バスケの集まりや二人のデートに。
『変ですって。了さんもあたしがいたらデートの邪魔だと思いますよ』
『え?だってさ….今日は男友達もひとり連れてくるから、いいでしょ?』
『…いい男でしょうね』
『もっちろん。中学からの腐れ縁仲間だけど、一番の出世頭よ。新前弁護士なのよ』
『…行きます』
もう一人連れが来るというのと、ちょっとした期待で、あたしはこの夜のディナーを承諾したのだ。了と現れたヒロは話の上手な人で、中学時代のエピソードを面白おかしく話してくれた。
『でさ、体育館の裏に呼び出してさ、了なんてつまんない男やめて、俺と付き合ってみたらって言ったらさ、瞳、横ビンタくらわせてきてさ、半べそかきながら“了の悪口言うな”ってさ…まいったよ』
『報われない恋ですね』
『ほんと、ずっと瞳には振られっぱなし』
瞳は 『ヒロは調子いいんだから』 と苦笑いしている。
了はいつもと変わらず、落ち着いた様子で皆を眺めている。彼はいつもどちらかというと聞き役だ。けれども、それでもたまに相づちみたいに口にするその一言に存在感がある人だった。
大抵の男なら、瞳の艶やかさの影に埋もれてしまうだろう。けれども、太陽のように輝く瞳の隣で、彼は月のように静かに光を放っているのだ。彼女とは対照的な、落ち着いた魅力を持った男だった。寡黙な分、その内側を覗いてみたい…女をそんな気持ちにさせるのだ。
こんな人に愛されたら…あたしも彼女みたいに輝けるのだろうか?
『…ところでさ、お前らいつ結婚するのさ』
少し、責めるみたいな口調でヒロが視線を了に向ける。
『少し長すぎる春なんじゃねぇの?高校のときから27だぜ?』
あたしはドキドキして成り行きを見守った。
もしかしたらプロポーズみたいな言葉が了の口からこぼれるかもしれないと。
『…27か…あんまり考えた事なかったな』
そう答えた了に、瞳は少し拗ねたような甘えた仕草で
『いいのいいの。まだまだ恋人気分満喫するんだもん』
と隣にある腕にそっと寄り添ってみせた。
あたしは同じ女だから…その台詞に隠された彼女の寂しさに気付いてしまった。
待っているんだ。
彼が決断してくれる日を。
瞳ならどんな男だって、彼女を求めるだろうに…。だけどこんなにも長く付き合っていながらも、まだ相手に求めるものがあるという事。完璧な二人に少しだけ欠けたそんな片鱗。その切なさは、更に瞳の美しさを引き立てているみたいにすら感じる。
二人はあたしの理想に思えた。
あたしだって恋愛経験が少ないわけでもない。男から差し出される手に赤くなるほどウブでもない。だけど最後の王子様のキスを待つ美しいお姫様の物語は、憧れの絵本をめくるあの頃の高揚感をあたしに思い出させてくれるのだ。
いくつになってもドキドキせずにいられない、そんな物語を二人はなぞっているようにみえる。ハッピーエンドの前のお姫様は、そのエンディングを引き立てるためにほんのちょっとだけ不幸だったりするものだ。絵本を覗きこみながら、幼い瞳で少女達が何を夢見るか…。自分もこんなドレスを着てみたい。王子様に見つめて欲しい、優しくキスして欲しい。そしてクライマックスには素敵なウェディングドレスに身を包む。
あたしはまだ気付いていなかった。
目の前のカップルを憧れの眼差しで見つめながら、自分の心の奥底に小さく灯った欲求の火種に。
スコールの音にかき消されて、夫…了があたしのすぐ後ろに立っている事にすら気付かなかった。背中からそっと抱きすくめられて、あたしは彼に愛されているような錯覚に眩暈すら感じる。
「どうした?元気ないな。この島気に入らなかった?」
「ううん。あんまり綺麗すぎて胸がいっぱいなの」
二人で静かに窓の外を見つめる。いつのまにかぽつりと、暗い雲の切れ目から青い空の断片が覗いていた。その鮮やかなブルーに救われたような気がした。そこから差し込む光の筋は冷え切ったあたしの心を温める魔法を秘めているみたいに見えたから。
「行こうか?」
今度はあたしが彼の手を引いた。振り返って彼を見つめる。もう目をそらしたりはしなかった。モルディブでの日々をしっかりと自分に刻みつけるために彼を見詰める。そんな勇気があの光に照らされて、何故かあたしの体から溢れてきたみたいだった。
海の中は見た事もないような魚の渦だった。まるで新鋭の画家にペイントされたような、艶やかな鱗をまとった魚達があたしを取り囲む。
「こんなの初めて見た」
あたしの声は興奮してうわずってさえいる。
「…俺も」
こんな風に感動をわかち合うなんて、あたし達には初めてな気がした。あ、了が笑ってる。子供みたいな笑顔。この人でもこんな顏するんだ。嬉しくてあたしもつられて微笑んでいた。
星が空に浮かびだすまで、飽きもせずシュノーケルを繰り返した。ドロップオフでは海亀を見つけて並んで泳いで了とはしゃいだ。縛られていた鎖が、足元に転がったような感覚。体が軽かった。こんな開放感はいつぶりだろう?
瞳と了とヒロとあたし。いつの間にか4人で出かけるのが恒例になっていた。男二人の趣味に付き合わされてよくキャンプに出かけた。集めた枝で焚き火を囲む。そんな時間は目新しく、あたしを楽しませてくれた。
普通だったらヒロと恋人が居ない者同士、ロマンスが生まれてもいいはずだったが、そつなくあたしをエスコートしてくれながらも、瞳をそっと見つめるその視線にあたしは気付いていたのだ。
弁護士の卵でなかなかの男前。あたしを扱うその仕草も女慣れしていてスマートだった。だけど心はずっと、瞳に捕らわれたままなのだろう。相手が瞳でさえなければ、誰かの王子様になれる素質はあるのだろうに…けれども二人の前ではヒロは所詮、白雪姫に恋をするコビトの一人にしかなれないのだ。だけど見つめずにはいられない。そんな共通点であたし達は結ばれていた。
恋人の座を期待するわけでもないあたしに、彼も気付いているみたいだった。だから、気楽な友人を演出する事が出来た。気も合っていたのだろうか?だけどヒロがあたしの耳元で囁いた、こんな台詞で流れは変わったのだ….
『気付いてた?俺が樹里ちゃんと仲良くしていると、了がイライラしてるのさ』
『…冗談…』
『付き合い長いからさ…分かるんだよね。こんなアイツ…俺も初めて目にするけどさ』
ヒロはイタズラっぽく口の端だけで笑った。
『あいつらにはいい起爆剤だな』
『人の事、爆弾みたいに言うの止めてよ』
プイッと焚き火の前から離れて一人暗いキャンプ場を散歩に出掛けた。了と瞳は皿洗い当番で水場に行ったきりだ。怒った仕草で歩き出したくせに、ヒロに怒りは感じてなかった。いや、そんな感情が入り込む隙間がその時のあたしにはなかったのだ。
ドキドキして心臓が耳元にあるみたいに鳴り響いていた。何を期待しているのだろう?ヒロの戯言にこんなに過敏に反応してる自分に驚いた。だけど…気付かされてしまった。ヒロが言っていた了の視線に。
その後4人そろって焚き火を囲みながらワインなんて飲んでいる時、試すみたいにヒロはあたしに寄り添ってきた。
『…おい…ヒロ飲み過ぎだぞ』
不機嫌そうな了の言葉。ヒロにさっきあんな事を言われていなければ、きっと聞き流していただろう。あたしは了をちらりと盗み見た。絡んだ視線。
その日を境に、二人を見詰めていたあたしの眼差しはいつのまにか了だけを追うようになっていた。そして何度も何度もあたし達の視線は瞳の背後で交わるようになっていった。
瞳に対する罪悪感。それだけがあたしを引き止めるおもりだった。だけど代わりに裏切りの背徳感は、甘美なスパイスでもあったのだ。
あたしが仕掛けたのだろうか?彼が誘ったのだろうか?曖昧な始まりだった。だけど気が付くと、ある日あたし達は同じシーツの隙間に挟まれていたのだ。
瞳から彼を奪うつもりなんてなかった。お姫様の幸せを自分の体で垣間見てみたかっただけなのだ。
了に抱かれていると、憧れていた物語の主人公になれたみたいな気がした。そして瞳みたいに価値のある特別な女になっている錯角さえした。
ねえ。本当なの。奪うつもりなんて….なかったのに。